【柏のボイトレ体験レッスン】80代男性Kさん──誤嚥防止のために、声と呼吸を整える

80代を迎えてもなお、声を大切にしたい──。
柏のボイトレ体験レッスンにお越しくださったKさんは、
誤嚥防止を目的に「発声のトレーニング」を始めることを決意されました。
声を出すことが、のどや呼吸、そして心を整えることにつながっていく。
その第一歩を、静かで誠実な時間の中でご一緒しました。
◆体験レッスンでの出会い
体験レッスン当日。
ドアが開くと、パリッとしたジャケットを身にまとったKさんが、
背筋をすっと伸ばして入ってこられました。
挨拶の「こんにちは」という一言から、よく通る大きな声が印象に残りました。
お聞きすると、現役時代は責任あるお立場で多くの方をまとめてこられたとのこと。
その堂々とした声には、長年の経験と人柄からにじむ信頼感がありました。
そして何より、こちらの話を丁寧に、真剣に聴こうとする姿勢。
声の大きい方はえてして“話す側”に回りがちですが、Kさんはむしろ相手の話に丁寧に耳を傾ける姿勢を感じさせる方でした。
◆ボイトレレッスンの目的
Kさん:「先生、最近ね、知り合いが誤嚥から肺炎になって亡くなることが多くて…。
お医者さんに“のどを動かす練習をするといい”と言われたんですよ。」
たまみ:「それはとても大切なことですね。発声の練習は、誤嚥防止にとても役立ちます。」
Kさん:「やはりそうですか。 声と飲み込みは関係しているのですね。」
たまみ:「実は密接に関係しているんです。
話すときや声を出すときには、のど・舌・口の中の筋肉、
そして飲み込みの動きに関わる筋肉が同時に働きます。
“息を吸って・声にして・言葉を出す”という流れは、安全に飲み込む動作ととても近いんですよ。」
Kさん:「なるほど…。声を出すことが、体の中の筋肉を保つことにもなるんですね。」
たまみ:「そうです。そしてKさんのようにすでに姿勢が良く、大きな声を出せる方は、息と声の流れを整えることで、のどや胸の筋肉をしなやかに保てます。」
◆リップトリルの宿題
そこで私は、Kさんに一つ宿題をお出ししました。
それは「リップトリル」という唇を震わせる発声練習です。
たまみ:「この練習は、唇を“プルルル…”と軽く震わせながら息を出す方法です。
息の力で無理なく声帯を振動させる練習なんです。
リップトリルを続けると、心肺機能を保ち、息の量とスピードを使って声を出す練習をおうちでも安全にすることができます。」
Kさん:「ほう、それは面白いですね。唇を震わせるんですか?」
たまみ:「はい。声を出す基本の練習です。
慣れると、全身を使って発声が出来るようになりますよ。」
◆レッスンの終わりに
「プルルル…」とKさんが息を出してみると、途中で唇が止まってしまいます。
Kさん:「うーん、これは難しいですな。」
そう言って、少し照れくさそうに笑われました。
たまみ:「最初はみなさんそうなんです。
でも毎日少しずつやっていくと、必ずきれいに出来るようになりますよ。」
Kさん:「なるほど。じゃあ、毎日練習します。これは続けがいがありそうだ。」
その笑顔には、
“これからも自分の体を大切にしていこう”という静かな意志が感じられました。
◆声を出すことは、「生きる喜び」を守ること
声を出すことは、のどや体を鍛えるだけではありません。
呼吸が深まり、心が明るくなる。
そして、自分の中にある「コミュニケーション」の力を再び刺激してくれます。
誤嚥を防ぐための発声トレーニングは、
単なる健康維持ではなく、“生きる喜びを育てる時間”でもあるのです。
◆体験レッスンのご案内
Kさんのように、
「飲み込みが気になる」「声が出にくくなった」「発音を整えたい」
そんな方には、まず体験レッスンで“声と体のつながり”を実感していただければと思います。
発声や話し方のトレーニングを通じて、のどを守り、誤嚥を防ぎ、安心して声を使い続けるためのサポートをしています。
柏の教室で、無理なくご自身の発声力を伸ばす体験をしてみませんか?