声が変わると心も届く

〜感じたことがそのまま 歌になるまで〜
Kさんは、時にはご主人のお仕事を手伝ったり、子育てをなさりながら、つくば市のボイストレーニング 教室に通っておられます。
街のイベントや、高齢者施設などで歌う少人数のボーカルグループに所属しておられ、もっと自由に歌いたいとのご希望でした。
とても感受性の豊かな方で、音程やリズムを整えていくと、その歌の世界観を上手に表現して行かれました。
ただ、どなたでも発声を変えるのは時間がかかることです。
喉の力みを取ることで、横隔膜が自然に働いていくのを感じとっていく、そんなレッスンを積み重ねてきました。
ある時、「お客様の反応が変わってきた」という嬉しい報告をいただきました。
イベントなどで歌った後に、「声が響いてきた」などのお声かけをいただくようになったそうです。
歌うことは、ただ音を並べるだけではなく、「その人らしさ」がにじみ出てくる行為なのだと、Kさんの歌を聴いていて感じることが多くなりました。
はじめの頃は、肩から上だけで歌ってしまっていたので、ご本人も「私の声ってこれでいいのかな」と迷われる様子がありました。
けれど少しずつ、レッスンの効果が出てきて、自分の声はこれだ、と思える瞬間が増えていったように思います。
発声が整ってくると、自分の声と体と心がつながって、自分の思ったことがまっすぐに声に反映されていきます。
「その人が、声を通して何を伝えたいのか」が、聴く人にも自然に伝わっていくのです。
お客様の反応が変わったというKさんのご報告は、単に声がよく響くようになったというだけではなく、「心が届く歌」になってきたという証だと思いました。
歌を通して、自分自身の内側とつながること。
そして、それが自然に、聴いてくださる方々へと伝わっていくこと。
レッスンでは、その過程を一緒にたどっていきます。
Kさんのように、日々の暮らしの中で歌うことを楽しみながら、少しずつご自身の声と仲良くなっていく。
そんな方との出会いを、これからも大切にしていきたいと思っています。