【柏教室・現役音大生の声楽レッスンより】― 音だけで語る力を育てる ―

柏教室には、現役の音大生である声楽(バリトン)の生徒さんがいらしています。
バリトンでも、明るく柔らかい音色をお持ちでそれがとても魅力的。現在はフランスもののオペラアリアに取り組まれています。繊細なニュアンスと色彩感が求められるレパートリーです。
練習曲とアリアの違い
コンコーネやヴァッカイといった練習曲集では、どうしてもアリアに比べると「音そのものの意味」が弱く感じられることがあります。
声楽は歌詞があるという点で他の楽器とは大きく異なります。しかし同時に、楽器と同じように“音だけで語る力”を持たなければなりません。
それぞれのフレーズが音楽的に何を表しているのか。
そして、そのフレーズが全体の構成の中でどのような位置づけにあるのか。
それを理解した上で歌うことが、音楽の深みにつながります。
理解していることを「どう表現するか」
長年専門的な教育を受けてこられた方ですので、フレーズの和声や音楽的意味はすでにしっかり把握されています。
今回のレッスンでは、「分かっていることを、どう音にするか」という点にフォーカスしました。
たとえば、犬や猫を飼っている人は、言葉を持たない鳴き声の中に感情や意味を聞き取ることができます。
それと同じように、歌詞がなくても、フレーズを聴いただけでニュアンスが伝わる歌い方を目指します。
一音一音が何かを語り、フレーズそのものが意味を持つように。
音だけで伝えるということ
歌詞のあるアリアでは、すでにそれが自然にできていました。
そして今回、歌詞のない練習曲でも、同じように音に意味を宿らせることができました。
音だけで感情や構造を語る力。
それは、声楽家として大きな財産になります。
これからフランス・オペラのアリアが、さらに豊かな色彩と説得力をもって響いていくのが、とても楽しみです。